前回、リレーで遊び始め、ルールが出来ていく様子をお伝えしました。
その後、クラス対抗や、3クラス(そら組は全部で3クラス)対抗戦になっていきます。クラス対抗戦が始まると、より強く「勝ちたい」とも思う子が増えるので、リレーに関する話し合いも熱が入ります。
今回は、そんな様子を、3クラスのお便りの抜粋からご紹介します。
リレーに関する話し合いは、こんな感じで盛り上がっていきます!
①リレーって、一人で戦ってるの?
クラス対抗戦が始まったころです。「リレー、走るのやだな・・。」という子がいました。
そうですよね。走るのが楽しい子もいれば、いろんな理由で、走るのが嫌な子もいます。このクラスは、そんな子の気持ちを考えました。
リレーって、自分が抜かされたとしても、次の人にバトンを渡しさせすれば、後ろの人たちが抜き返してくれたり、順位を守ってくれたりしますよね。そんな話題になりました。マー君より後ろの走者だったB君が、
他の人のやる気、勇気にもつながりそうな作戦です!
走っていくうちに、今回の様に「こういう場合は前の方」「こんなことがあるから1番は速い人」「最後は速い人」など、順番についての話題も上がってきますが、なんにせよ、子ども達が自分たちで決めていきます。大人からは、意外な順番になることもあります。
マー君の気持ちの事を考えているとき、こんな話題にもなりました。
などなど、意見が分かれました。そして、個人戦と思っている子もいることがわかりました。そこで、こんな話をしました。
リレーは、途中で抜かれても負けじゃない!最後まで走らないとわからない!そして「みんなの力を合わせて戦っている」というところを話していきました。
マー君の話を通して、リレーの大切なところ、感じて欲しいと思うところを考えていく機会になったな、と思いました。
②実際に走って決める!
(写真:これは違う日ですが、かけっこ決めです)
リレーに取り組み、だいぶたったころ。クラス対抗も何回かあり「勝ちたい」の気持ちで練習をしている子達もいました。そんなころの様子です。
このチームは、人数を揃えるためにお助けが一人必要です。
黄色チーム(帽子の色をもとに、黄色チームと白チームになっています)からお助けをお願いすると、シュン君、Aちゃん、Bちゃん、C君が立候補。かけっこ決めで、良ーいドン‼と走ると、4人ともすっごくいい勝負!
競り合いつつ、シュン君、Aちゃん、Bちゃんが同着!!C君もあとちょっとだったー・・。
同着の三人で2度目かけっこ。結果‥さいごにスピードを上げたのは、シュン君でした。お助けは、シュン君に決定!
しかし、周りはザワザワ!!
と走り切った女の子たちにびっくりのみんなです。
と練習のやる気スイッチがより入ったみんなでした。
担任の先生たちと供に、どうなるのかなー、と思っていたら、しっかり仲間を見ているみんな。速くなった、という時にちゃんと気が付くんですね。その、思い込みがちゃんと新しい情報に刷新されていく、というところが良いところだと思います。
③作戦をみんなで考える!?
対抗戦!自分たちのチームの事もですが、自分達のクラスの別のチームの事も見ている子ども達。同じクラスの仲間の事を、真剣に考えていく姿、さすがそら組だなー、と感心します。そんな様子がお便りにありました。
対抗戦の結果は、、、黄色チーム1位、白チーム2位でした。1位は気持ちよくバンザイ!2位の時はうれしい、より悔しいのみんな。でも、黄色チームがしっかり見ていたのです。白チームが2位だった理由を、、、
と、対抗戦後、地面に図を書きだしていました。
とのこと。それは事件だ!
こんな子もいましたが、中には、
なるほど、行きたくても行けなかった人もいたんだ。でも、だからといって〇でもらうと遠いし、、、どうしよう、、、
なるほど。『前の人がいなくなったらすぐ出る!』作戦です。
という『他の人がいなくなったら線の近くにずれる』作戦も思いつき、作戦に加えることにしました。
園長先生のつぶやき
(写真:運動会には、そら組がクラスで作った旗も飾りました)
子ども達の話し合いは深いですよね。毎年、リレーの話し合いの子ども達のやりとりはびっくりさせられます。「よく見てるな」「よく考えてるな」と感心します。
このリレーの話し合いの中に「なかの幼稚園への質問の答えになる事」があると思います。
なかの幼稚園についての質問の一つに、
「子どもの自主性に任せる、と言いますが、それで大丈夫なんですか?やらない子は、やらないままなんですか?」
というのがあります。最初のクラスの話し合い「走るのが嫌」という気持ちが話し合いのきっかけの場面であったと思います。
「え!?リレー、走るのが嫌、なんて言っていいの?」という方もいたかもしれません。運動会のメインの競技に、嫌って言っていいの?プログラムは絶対やらせるんじゃないの?という考え方もあると思います。
走るのが嫌という子は「いや」と言ってきます。だって「嫌な理由がある」のですから。ただ、ここである通り、そのままではありません。クラスのみんなが解決を探してくれたり、支えてくれたりします。もちろん、先生達もその手伝いをするし、必要であれば先生が解決案を出していきます。小さい組では、先生が対応することが多いですが、そら組は大人より仲間の力が大きくなります。
先生たちは、やれたら良い!という活動を用意しているので、やらない子を放っておくつもりはありません。そして、「いや」を乗り越えてやれた時、子ども達は何か自信や達成感をつかんでいきます。
また、見学に来た方たちから「勝ち負けがあったり、個人の名前が出たりすると、けんかやいじめにつながらないんですか?」という質問が時々あります。
勝ち負けがトラブルのもとになる事も、個人を出すことがトラブルのもとになる事もあります。ですが、原因にも結果にも、途中のプロセスやその時の気持ちにも考えが及べば、変ないがみ合いにはまずなりません。
最後のクラスが、「やってなかったよ」とさらっと伝え、それに対し「そうだった」と率直にできていなかった自分を認める子も、「でも」と理由を述べられる子もいる。
そして、すべての話し合いの中で、自分の気持ちと向き合う事、相手の気持ちを考える事。この力が育っていくのも感じます。とっても大事な力ですよね。
(写真:運動会開会式)
2020年の運動会にもありますが、体と共に心も大きく成長する、そら組の運動会です。