先日の、幼稚園説明会にて…
何か質問がありますか?という時に、一人の保護者が手を挙げてくださいました。なんだか申し訳なさそうにおっしゃるには、
なるほど!幼稚園では「遊びを主体に学びがあります!」という内容の説明をした後で、それを心配に思われたんですね、もっともです!
申し訳なさそうなのは、「ここの幼稚園の雰囲気はとても良いから、ここにしたいけど、でも不安があって・・。」という事でした。
園全体には賛成する所もある、でも不安なところもある、という事ですね。よく訊いてくださいました!
そして、たしかに「字を教えます」「小学校までに○○できるようにします」という話を聞くと、「それをしない」というのは不安に思うのもわかります。出遅れたくない!というのは、親にとってどうしても頭をよぎってしまう事です。
でも、この記事を読んで安心してください。私たちが考える「小学校入学前に準備すべきたった5つのこと」です。
【なかの幼稚園が考える】小学校入学前に準備すべきたった5つのこと
- 自分の体を動かせるようになる。
- 仲間とやり取りする力をつける(自分の気持ちを表せることも含む)
- 自分を律する力を身につける
- 小学校ではできない時間軸での体験
- 自分に自信を持つ、やればできる!と思える
「あれ?やっぱり、数とか字とかは入ってないの?」と思った方へ。子どもの成長や、発達段階を考えてみます。
すると「字を書く」というには「鉛筆などを使って、紙のある程度小さな枠に思った通りの線を引ける力」が必要です。そのためには、赤ちゃんの時からこんな発達が必要です。
「座れるようになる:体を支えられるから、腕を使ってペンなどで線が描けるようになる」
↓
「大きく肩関節から動かせる:グルグルかく」
↓
「ひじ、手首で調節できるようになる:丸が書けるようになる、2歳くらい」
↓
「指を使って表現できるようになる:早い子は年少くらい、だいたいの子は年中位」
↓
「鉛筆などで細かい表現ができる:年長の子で多くできるようになる」
ということで、小学校になるころに、ほとんどの子が字を書く準備が出来てくる、という事になります。
また、数などを学習するためには、ことばと数という概念が理解できることが前提です。幼稚園の時代は、主に概念が出来てくるために実体験を重ねる時期です。
もちろん、年長組の多くはわかっていることが多いですが、個人差も大きい時期です。また、正解、不正解に当てはめる思考も、この時期にはあまり適当ではないと思います。
と、発達を考えると、多くの子が机の上での学習の準備ができるのは、ちょうど小学校に上がるころ、という事ですね。だから学校に行き、年齢や発達に合わせた学習内容が用意されているんですね。
ということで、
では、一つ一つの解説をしていきますね。
1:自分の体を動かせるようになる。
えんぴつを操るのも、ブランコや鉄棒で遊んでも大けがしないのも、友達を大けがさせないためにも、自分の体を自分でどうしたらどうなるか、分かっていられることが大事ですよね。
「座学が始まる前に、たっぷり体を動かして、発達に大切な経験をしておきましょう!」
脳の発達にも、体を動かすことが大事です。ブランコをこぐ、ボールを投げる、ボールをける、力いっぱい走る、滑り台を滑る…。自分の気が済むまで(=体の要求が満たされるまで=しっかり発達するまで)やれる!というのも大事なことです。
2:仲間とやり取りする力をつける(自分の気持ちを表せることも含む)
この「仲間とやり取りする力」というのは、一朝一夕では身につかないですね…。ちょっと考えてみればわかると思いますが、小さい子どもの気持ちは5分や10分では解決しないことが多いです。しかも、相手がいるケンカは、相手の気持ちもあるんですから…
本当に小さいうちは、よくわからないことで解消してしまう事も多いしそれでもいいのですが、年中や年長になって自分の気持ちと相手の気持ちが感じられるようになると、その気持ちをやりとりできるようになるためには、長い時間がかかります。
時には、今日のケンカが明日に続き「ともだち嫌い!大嫌い!」なんて言ったら仲直りに1週間以上かかる、なんてこともあります。(参照:なかののいいね8ページ)
その時間をかけられるのは、授業時間ではなくて、幼稚園で流れる時間軸の中だからこそ。なかの幼稚園では、先生がクラスに二人います。一方の先生が話を聞いている間に、クラスとして必要ならば「先に集まってるね、話が終わったらきてね」という事もできます。
また、クラスの時間の裁量は担任に任されているので「この気持ちを解決するのに必要」とおもえば、クラス全体で時間を取ることもできます。一例がブログの記事にもある不安なことも考えられる「【なかの幼稚園Ver】みんなで小学校進学について考えてみた!」なので、下記を参照してみてください。
学校で先生が授業にしっかり関わるためにも、友達とのやり取りを含め、自分はどう思うのかを表現できる力を身につけておくのはとっても大事です。ぜひ、就学前に身につけておきたい力です。
3:自分を律する力を身につける
これは「こういう時はこうするべき」という判断を実行できる力ですね。「今は座っているとき」「今は静かにする時」これは、すごく簡単に言うと「自我」という自分の主張がきちんと受け止められた後に「第二の自我」といって発達する力です。
4歳くらいで芽生えてくるのですが、5歳の頃に発達してきます。この力が発達するのに大切なのが、自分で自分の行動を選ぶ、という事なんだそうです。こちらに関しては、下記の記事も参考にしてみてください。
なかの幼稚園はこの力が大事だと思っているので、年少・年中・年長、それぞれの生活に合わせてこの力を育めるように、と考えた生活と先生のサポートがあります。
4:小学校ではできない時間軸での体験
これは、小学校のあるベテラン先生がおっしゃっていました。
「学校はどうしてもチャイムで区切られるから、45分を超える集中する体験をしてきて欲しい!」
なるほど!そうですね。なかの幼稚園では、何時間もかかったり、何日もかかるような取り組みがたくさんあります。一番は年長組の木工活動でしょうか。お店をつくりたい、となったら、出来上がるまで何週間もかかります。
また、トンカチでくぎを打って壁を作る、それを組み立てて建物にする、なんて作業は何時間もかかります。それでも、それが出来上がった時の達成感は格別です。長い時間をかけるからこそできるものがあり、だから得られる達成感もある。なかの幼稚園ならでは、ですね。
また、絵を描いたり、制作をするときに、そのクラスの子に合わせて時間を設けられるのと、そもそも取り組み自体も「やりたい子からやろう」という方法で取り組むこともあります。
こんな時は、じっくり時間をかけて取り組む子、ささっとどんどんできる子、その子のペースで取り組むことが出来るのですが、じっくりやる子は1時間を超えることもあります。たっぷりした時間が保障する集中力。こどもってすごいな~とおもう作品がたくさんあります。
5:自分に自信を持つ、やればできる!と思える
最後に持ってきましたが、実はこれが「人生の最初の集団生活・幼稚園で一番大事なこと」かもしれません。
自分はやればできる!と思える事。その先、学校でも仕事でも、大事な思いです。自分自身が不安定になってしまったら、やってもできないから、、とおもっているなら、、どうでしょうか。勉強でも何でも、意欲的に取り組むことも、そこから何かを吸収して学ぶこともおぼつかないことは目に見えています。
幼児期は、最初の土台、自分自身に肯定感を持つ(自信を持つ)大切な時期です。それは、自分一人ではできないことで、相手が認めてくれて出来上がっていくものです。だから、幼稚園での出会いが大事です。
この時「正解か不正解かという生活ではない」というのも大事です。答えを合わせて正解だからおりこうさん・不正解だからダメ、というのではないのです。自分の考え、相手の考え、あんなこともこんなこともひっくるめて受け止めあえる生活が必要です。
なかの幼稚園の先生たちは、大人も認めあえる考えを持っています。自然と子ども達もお互いを認め合うまなざしを持っていきます。やれば、出来る!きっと、年長そら組を経験した子どもとその保護者なら、そうそう、そう思える、とうなずいてもらえるでしょう。
園長先生のつぶやき
5つのどれもが目に見えない力ですね。字を書く、数を数える、問題を解くといった目に見える結果ではないので、分かりにくいのですが、大丈夫。星の王子さまが「大事なことは目に見えない」といいますが、幼稚園で目に見えない力をたっぷり貯めて、小学校でも活躍できる土台を作りましょう!
「そして、気になることがあります。小学校でのいじめに関するレポートで、6年間で件数が多い順が2年生、1年生、3年生とありました…」
ということは、学校にも改善する点があるかもしれませんが、学校入学前の過ごし方も影響があるのではないかな?と思います。
充実して過ごしてきたのかな?という事です。自分のこと、周りの子の事、まわりの事。自分が充実していなければ、大切にできないでしょう。不安定であれば、周りを攻撃してしまうでしょう。安定しているなら、不満があっても表現できるので、いじめる必要はありません。
「勉強を先取りしておこう!なんて言っている場合ではなくて、今の幼稚園時代をしっかり充実して楽しんでおくべきなんです!」
ここまで書いてみて、思ったのは、やっぱり「日本一幸せな幼児期を目指す生活」が大事です。この生活が、そのまま小学校への準備になっていると思います!