「うちの子供って発達障害?」不安なお母さんの胸の内~誤学習を解きほぐす!

一学期、今年も親子の広場にたくさんの方に参加していただきました。ありがとうございました!

なかの幼稚園では、普段の保育室の隣で「親子の広場」があるので、一学期のスタート直後は広場がありません(土曜日の体験会はありました)。

入園した子たちがちょっと落ち着いた6月に始まるので、一学期の広場はそんなに多くありません。

広場に来てみて、初めて子ども集団に入る子は、いろんな反応があります。そんな我が子の様子を見ていて、心配になることもありますよね。

もしかしたら、お子さんの様子で悩んだり心配になるとき、参考になるかな、と思い悩みの様子を書いてみます。

 

 

わがままなのかな?うちの子…

ある雨の日。外に出て、水たまりを見ている子がいました。

よくみると、太郎君(仮名)。ちょっと離れて、お母さんも傘を差しながら見守っています。

外遊びが好きな様子の太郎君だったので、私は「雨だけど外で遊びたいのかな?お母さんもいるし、大丈夫でしょう」と思っていました。

それでも、お集まりの時間になっても外で変わらず雨を見ている様子の太郎君。

いっそ水が好きなら、もっと雨の水が集まる場所で楽しんでも良いかな、と声をかけに行きました。

お母さんに「雨を見てるの?」と聞いてみると、どうも違うらしい?どうも、おかあさんと静かなバトル中。

 

おかあさん
気に入らないことがあって、あそこにいるんです
園長先生
あ、そうなんだ?水を見てると思ってた
おかあさん
お集まりにはなかなかいかないんですよね
園長先生
そうだね、お集まりのとき、外で遊んでいること、多いよね。
おかあさん
このままでいいのかな・・。お姉ちゃんともお兄ちゃんとも違うから・・。

 

私のはたから見た予想と違い、雨を楽しんでいるのではなく、お母さんは不安な様子。子どもも身動き取れなかっただけで、楽しんでいませんでした。

お母さんは、3番目で自由にさせすぎて、そのせいで集まらないのかな、と不安に思っていたそうです。

 

広場の今年のお集まりの様子

 

園長先生
でも、小さい子にとって、お集まりなんて言ってもなんだかわからないし、来れないこともあるよね。楽しいことがあるってわかってくると集まれるようになるけど。今年は人数も多いし(広場の人数が毎回20人など大勢でした)、よくわからないことあるよね。
おかあさん
あ、そういえば、大人が大勢いるところって、好きじゃないみたいです。お兄ちゃんの学校の用事でいっても、10人くらい大人がいるとイヤみたい。
園長先生
じゃあ、20人も大人がいる今の広場の部屋は入りにくいね。そういう子は、大勢が帰った後とか、空いているときに部屋を覗いてみると、入れることが多いですよ
おかあさん
そうか、後からとかだと。今度やってみよう
園長先生
入園して、子どもだけで集まる、毎日集まって何かする、というと集まるってこういうことかと分かりやすいけど、時々来る広場だとよくわからないかも、また、入園したら変わることもありますよ。

 

という話をして、その日は終わりました。

その後、なんとなく、太郎君が部屋のところにいる事が増えたな?と思っていたら、お母さんもその実感があったそうです。

おかあさん
お集まりに行かなきゃ!と思っていたのが、あ、いいんだ、とおもったら、子どもがなぜか部屋に近くなりました

 

 

うちの子、集団行動ができない?

今年の年長組の遊んでいる様子

他の子がやっていることを、自分の子がやらないと不安になったり心配でちょっと強く迫ったり…してしまいますよね。

でも、大人が「先生が集まりって言ったから集まるべき」と思うのと、「まだおあつまりが何のことだかわからない2歳、3歳の子たちが思う事が違って当然」です。

集まってみたら、楽しいことがある!ってわかると自然と集まれる子が増えます。

また、何かしらイヤな理由がある子もいます。今回の太郎君みたいに、何となく大人が大勢いるところは苦手、というのもあると思います。

その場合は、大人が減ればいいなら普段の幼稚園クラスになればあまり問題はないですよね。

逆に、違う理由で4歳5歳と大きくなるにつれ苦手が強くなることもあります。

なかの幼稚園では、その時その時によって理由を考えて、必要であれば工夫をしていきます。

今回の太郎君のお母さんにも、(お兄ちゃんたちがなかの卒園生で幼稚園の生活がある程度わかっているのもあり)「年中とかになって必要と思ったらその時、また言わせてもらいますよ~」とお伝えして、お母さんも「はーい。よろしくお願いします。」と返事してくださいました。

そしてね、なぜか、大人が「これをしなさい!」と念じると、子どもはそれをやらないことが多いんです。

まるで大人からビームが出て、それをキャッチした子どもに「やりませんスイッチ」が作動するかのようです。

ビームが出なければ、やらないスイッチが入らないみたい・・。矛盾するようですが、そういう様子はよく見かけます。

お知らせ
広場の人数が多かったので、今年は水曜日クラスを増設しました!遊びやすくなると良いな、です。お待ちしてまーす。

 

 

うちの子って、発達障害なのかな?なんだろう?

広場で遊んでいて、テラスを走っていく花ちゃん(仮名)。

お母さんは、まだ小さい下の子を抱っこして素早く走れないので、後ろから「走らない!」と叫んでいます。叫んではいるけど、花ちゃんは止まらず。

他の子たちが遊んでいるところに行って勝手に遊びだす様子にも、お母さんは「それはダメ!さわっちゃダメ」と言っていますが、花ちゃんは遊び続けています。

その場にいた先生が、「今は周りの子も気にしてないから、このままいっしょにどうぞ」と判断して、しばらく一緒に遊びました。

でも、お母さんが言っても反応しないような花ちゃん。気になります。

お母さんとちょっとゆっくり話す時間を取ってみました。広場の先生と遊んでもらっている間にお話。

 

園長先生
おかあさん、大変じゃない?
お母さん
はい。・・。言っても言っても止まってくれないし。なんなら、聞こえてるのにわざとやったり、やったら怒られる事をわざとやってるみたいで
園長先生
やっぱり、わざとみたいな感じします?
お母さん
前は、手のかからない子とおもっていたんですけど…
園長先生
いつごろから?
お母さん
う~ん・・。

 

お話を聞いていくと、

    • すごく動いてしまう
    • 止まって!触らないで!ということもやってしまう
    • 多動ってやつかと思ったりもしました
    • でも、兄妹の方が体が動いてしまう様子があるから、そうじゃないのかも?って夫とも話していたんです
    • 4~5ヶ月前から、言っても聞かない様子が出てきた

 

という事でした。

こういう、動きが激しいときは、いろんな意味で親は疲れますよね。

まずは心配ですよね。ぶつかったりケガしたり・ケガさせたり、という動きが激しいことでのいわばトラブルが起きてしまう事への心配。

そして、他の子と比べて動きが激しい理由が発達障害なのかな?という心配。

幼稚園では、理由と、動きの対処と、いわば二つの事にわけて相談していきます。まずは理由。それがわかるとどうすると良いのかわかりやすくなるので。

 

今年のひよこ組の様子。広場の子も同じ年代の子も多いですね。

お断り
ここで、一つお断りしておきます。

いま「発達障害」という言葉を使いましたが、本来「発達障害」というのは医療機関での診断で使われるもので、幼稚園の先生が判断するようなものではありません。

また、なかの幼稚園では先生が判断することはありません。

ですが、多くの方が「うちの子って障害ってやつ?」という不安を持っているのと、それは「障害」という言葉が持っている響きが関係あると思いますので、その不安を表すために敢えて使わせてもらいます。

 

花ちゃんのお母さんも、最初は「多動っていうヤツで、どこかに相談にいくべきか」と考えたそうです。

でも、他の兄妹の方が動きが大きい場面があるのをみて、「ちょっとちがうのかも」と思ったそうです。

花ちゃんママ、ここはすごいです。言葉の印象に引っ張られずに子どもの様子をみているのは、良いです。

そこでもう少し様子を聞くと、「怒られることを敢えてする」という様子がいくつか上がりました。

花ちゃんのお歳はもうすぐ3歳。そして、聞かない様子が出てきたころに赤ちゃんが生まれています。

もしかして、ちょっと遅めのイヤイヤ期と、赤ちゃんが来て心持ちが変わったのが重なったのでは?という話をしました。

イヤイヤ期という「自分で決めたいお年頃」の花ちゃん、そっち行っちゃだめ、という指示より、自分で行きたい所に行く!という自己決定権を主張したいのでしょうか。

 

また、赤ちゃんが生まれて、それまでお兄ちゃんと自分の「どちらかというとちやほやされていた下の子の花ちゃん」から「一番手のかかるのは生まれたての赤ちゃんで、自分で結構なんでもできるお姉さんの花ちゃん」に立場が変わったみたいです。

どうも、そう立場が変わって、前のようにちやほやされる、というか大人の関心を自分に向けるには

 

『お母さんの関心を引くには、怒られることをするのが一番効率が良い』

 

と思ったのでは…こういうのを、誤学習といいます。

『子どもの思ったことを叶えるのに一番有効な手段が、その時にふさわしい行動ではない、けれど結果叶ってしまうので次もそのふさわしくない行動をする』という事。

花ちゃんはお母さんの関心を引きたい。関心を引くには怒られることをすればいい。(大人は怒っているつもりでも)子どもから見ればお母さんが私だけをみてくれている時間、となっているわけです。

 

という事で、対応としては誤学習を解きほぐすことではないか、となりました。

怒られるようなことをする前に、「あなたの事をみてるよ!と関わる」という事です。

なにか普段している時って大人は何もなく過ぎがちですが、その何もしていないこと=認めるべきこと、という事。

という事で、さっそく話し合いを終えて広場の部屋に戻った時に、花ちゃんが「みて~」とつくったものを持ってきたのを「すごいね!作ったんだ」と顔を見て花ちゃんがほめてもらえた実感を持てるように伝えていきました。

さらっと大人が立っている高さから声をかけるだけじゃなくて、子どもの顔の高さで大人が言ったことが聞こえているか確かめつつ、です。

これでがんばってもらって、イヤイヤ期についてはそのうち抜け出して3歳になるはずだから、という事になりました。

 

 

園長先生のつぶやき

広場のお集まりにて。この日は、かさの絵で色を塗ったりシールを貼ったりしてあそびました

 

大事な補足があります。子どもの様子から、なんだか周りの子と違うかも、という時に不安になりますが、

 

「検索すると、より不安になるような情報もたくさんある」

 

ということ。

言葉だけに引っ張られず、子どもの事をよく見て、相談したり、時には愚痴をこぼしたりして、対応を考えていくことを大事にしていきたいです。

 

不安な情報だけではいい方には動きません。

お子さんの様子が分かる人で、少し知識のある人がいたら相談してみましょう。もちろん、親子の広場やなかの幼稚園ではいつでも相談を受けています。

相談とまでいかなくても、「こういうのって、よくあることですか?」と聞いてもらっても構いません。

毎年、何十人もエントリーする親子の広場。そんな子たちに関わっている先生達の情報も活用してください。

また、普通に親友達として相談できる相手がいるのも大事ですよ。

そういう、ちょっと困っていることをこぼせる仲間も、そのうちできるといいですね。応援します!

 

 

 

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